都市対抗野球

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プレーバック PLAYBACK

証明する夏
―二次予選プレイバック―
激戦の東京都二次予選を勝ち抜き都市対抗野球大会出場を決めたセガサミー野球部。
東京都二次予選をキーマン達と共に振り返ってみた。

 笑顔で迎える、充実の夏――。激闘の都市対抗東京都二次予選を勝ち抜き、東京ドーム行きの切符を手にした今年も、その光景に変わりはない。
 7月中旬、セガサミー野球場。本大会に向けて練習に励む選手たちの顔は、どれも充実したものばかりだった。とりわけ、今予選でひと際大きな輝きを放った3つの個性は、例年以上の笑顔で夏を過ごしているようだった。

 褐色の肌と、短く刈り込まれたヘアスタイル。さながら、その姿は高校球児のようだ。
「坊主にしたのは大学2年以来です。暑いですから。ただ、それだけの理由なんですけど(苦笑)。似合ってる?ありがとうございます」
 マウンド上の姿とは違う、やわらかな笑顔を浮かべる渡邉裕之。話題が都市対抗予選に及んでも、その表情は変わらず笑顔のままだった。
 「3年間で一番、内容があった予選だったと思います。今年は、完全とは言えないですけど、春先から肩が痛くて投げられないというのがなかった。その結果、予選でも先発としての役割を果たすことができたんだと思います」
 年間を通じてケガで登板機会がなかった入社1年目。

代表権獲得をグッと手繰り寄せたJR東日本との敗者復活2回戦。6回1失点とゲームを作った渡邉裕之
投手の好投が光った

昨年も、都市対抗予選と本大会で投げたとは言え、決して納得できる内容ではなかった。そんな中で迎えた今年は、負ければ終わりの大一番、JR東日本との敗者復活2回戦で先発して6回1失点と好投した。打者にとっては球の出所がわかりにくい、軸足となる右足に沿って右手が振り出されていく独特の投球フォーム。そこから生まれる140キロ超のストレートと、100キロ台の落差あるカーブで打者を手玉に取った。そして今年新たに加わったツーシームは、渡邉の投球の幅をより広げ、予選でも大きな武器となった。
「実戦で使い始めたのは4月末の岡山大会からです。予選ではツーシームに頼った場面が多かったですね。シュート気味の球なんですが、右打者ならインコース、左打者ならアウトコース。ゴロで討ち取りたい時のボールです」
 進化した右腕は今、チームにとって大きな存在である。予選でともに先発を担った上津原詳は、東海大相模高校時代にエースの座を競い合った間柄だ。
「エース?まったく意識はありません。今は、上津原がエースだと思っていますから。でも、今年の予選のようなピッチングを継続していければ、少しはそういう意識も出てくるかもしれませんね」
 自信をつかみかけている渡邉は、自らのさらなる成長に期待している。 

 大西主晃と兼田一平。今予選、REVENGE99との敗者復活1回戦からスタメンに名を連ねた2人の活躍なくして、代表権獲得はなかったかもしれない。
大西が振り返る。
「大事な大会で結果が出て、ホンマによかったです。今年は春先から調子が上がらず、スタメンから外れる機会が多かった。バッティングでは、いろいろ細工をしたというか、綺麗にやろうとし過ぎていたところがありました。今思えば、ガムシャラさが足りなかったのかなあと思いますね」
 4月上旬の静岡大会1回戦では、9回裏に代打で出場し、同点となる起死回生の2ラン本塁打を放った。不調からの脱却。そのきっかけをつかんだと、周囲の誰もが思った。

東京ガスとの敗者復活3回戦では4打数3安打の
猛打賞。予選を通じて安打を量産した大西主晃選手は最優秀選手に選ばれた

「確かに周りの人からは『気が楽になったんじゃないか』と言われましたけど、自分の中では納得したバッティングではなかったんです。たまたまスライダーにタイミングに合って、結果的にホームランになっただけ。だから、開放された感覚はなかったですね」
 大西の苦しみは予選前まで続いた。本来のバッティングの感覚を取り戻したのは予選直前の最後の調整期間中だった。
予選での活躍の裏には、家族の支えもある。奈良から応援に駆けつけてくれた両親と妹。
「これまでしんどい練習もしてきたんやし、最後は楽しんでやったら良いんちゃう?」
 父・弘明さんのそんな何気ない言葉で、大西の気持ちはスーッと楽になった。
通算打率.444。大西は、予選の優秀選手に選出された。
「大学時代に一度だけベストナインに選ばれたことがありますけど、これまで賞とは無縁でした。だから、素直にうれしい。形として残るって、いいものですね。優秀選手賞の楯は実家に置いてあります。僕の部屋に飾って置くより、実家にあったほうが親も喜ぶでしょうし」
 大西にとって、今夏の予選は忘れられない思い出となったようだ。 

≪西の秘密兵器?≫
兼田一平を応援する社員の方が作った横断幕には、愛情たっぷりの言葉が綴られている。
「会社の方々の熱い応援には本当に感謝です」
今予選、『?』マークを『!』マークに変えるほど、秘密兵器どころか代表権獲得のキープレイヤーとなった兼田には確固たる自信があった。
「予選を迎えるにあたって、今年はやれることはすべてやろうと思って取り組みました。

積極打法で勝利に貢献した兼田一平選手。REVENGE99との敗者復活1回戦では3ラン本塁打を放つなど長打力も見せつけた

だから、心と体の準備だけはしっかりとできていた分、いざ敗者復活1回戦から『スタメンで行く』と言われても、動揺することなく冷静に落ち着いて試合に挑むことができました」 たとえば、ウエイトトレーニング。昨年までは体の疲れを考慮して、シーズン中は避けていた。だが、今年は調整方法を変えた。
「どれだけ体がきつくても、練習後、必ずウエイトトレーニングをしてきました。予選中もずっと1時間~1時間30分はやっていました。もちろん技術練習は大事ですけど、体のバランスも重要。僕の場合、体を追い込んだ中で試合に臨んだほうが結果はいいんです」
 敗者復活戦から1番に定着した兼田は、出場したすべての試合でヒットを記録した。
「1番打者の第一打席は大事です。どんな形でもいいので出塁することでチームは乗っていけますから。先頭打者での出塁。そこに今予選は懸けていました。また、打順に関係なくファーストストライクは振ることは、これまでチームとして意識してきたことです。見逃せば、受身になる。1番打者が受身になったら、余計に他の選手も受身になってしまうと思うんです。だから、打席では攻めの姿勢で積極的に思い切り振りました」
 その言葉通り、兼田は東京ガスとの敗者復活3回戦から第三代表決定戦までは、すべて第一打席でヒットを打ち、チームに勢いをもたらした。
思いっ切り、一つ一つ後悔しないように――。
兼田の帽子のつばの裏に書かれたその言葉は、3度目の東京ドームでの戦いのキーワードになるかもしれない。
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