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2020.09.01 [Tue] 17:00
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スポーツライター 佐々木 亨氏によるオープン戦 戦評(8/25 三菱日立パワーシステムズ戦)

 試合序盤の展開に「敗戦」の二文字がちらついた。

 先発マウンドに登った田中太一の制球が安定しない。1回表は先頭打者に四球。犠打と暴投で走者は三塁へ。失点こそ免れたが、不安定な立ち上がりが気になった。2回表もボール球が先行する中で先頭打者に四球。相手の6番打者が犠打を失敗して一度は悪い流れを絶ち切ったかに見えたが、この試合の田中にはそこから一気に勝機を引き込む力がなかった。その後、一死一、三塁と攻め立てられた右腕は、併殺崩れの間に先取点を奪われる。みたび先頭打者に四球を与えた3回表は、味方野手の失策も絡みながら2失点。重苦しい空気が三塁側ベンチを包んだ。

 序盤を終わって3点のビハインドである。四球と失策が絡んだ失点。ノーヒットに抑えられた攻撃。その試合内容を考えれば、3点を追う展開に希望を見出すのは難しかった。

 だが、試合中盤を迎えると流れは徐々に変わっていく。4番根岸晃太郎にチーム初ヒットとなる二塁打が飛び出した4回裏は得点に至らなかったが、二死から2番植田匡哉にタイムリーヒットが飛び出した5回裏から雰囲気が変わった。勢いそのままに迎えた6回裏は、5番澤良木喬之が四球を選んで一死一塁。その好機で、途中出場の6番北川智也が右中間を深々と破る三塁打を放ち、代走の西村僚太がホームを駆け抜けて1点差。さらに走者三塁で、7番北阪真規がセーフティスクイズを決めて同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。

 序盤にあった重苦しい空気が嘘のように、試合終盤になってもチームの勢いは止まらない。試合のハイライトは8回裏だ。二死から6番北川がセンター前ヒットで出塁。7番北阪の初球に盗塁を決めて得点圏に進んだ。その「攻めの姿勢」が相手バッテリーにプレッシャーを与えただろうか。北阪が四球を選んで一、二塁と好機が続く中、途中出場の8番須田凌平は1ボールからの2球目を豪快に振り抜いた。

 「久しぶりのロング(長打)。逆方向への自分らしいバッティングができました」

 須田がそう振り返る一打は右中間を抜ける三塁打となり、二人の走者がホームを駆け抜けて勝ち越しに成功した。須田が言葉を加える。

 「北川の盗塁が大きかったですね。その後、北阪が四球を選んでチャンスが広がった。僕は、その勢いのある良い流れに乗っただけです」

 それぞれが役割をしっかりと担い、勝利の風を呼び込んだ攻撃には逞しさを感じた。

 ただ、忘れてはいけないのが4回以降無失点に抑えた投手陣の踏ん張りである。5回表の1イニングを抑えた左腕の井上和紀。さらに、草海光貴、東範幸、石垣永悟、横田哲とつなぎ、9回表は陶久亮太が締める完璧な投手リレーだった。西田真二監督は言う。

 「(序盤の)3点で凌いだのが大きかった」

 投打に力強さを見せて逆転勝利。その戦いぶりには、「常勝」の雰囲気が漂っていた。

※2020年9月1日より対戦チームの三菱日立パワーシステムズは、「三菱パワー」にチーム名が変更しておりますが、上記オープン戦は8月25日に開催されたため、旧名で表記させていただいております。

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野手の失策もありながら4回3失点と苦しいマウンドになった先発の田中投手
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4回裏、一死からチーム初ヒットとなる左中間二塁打を放った4番根岸選手
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5回裏二死一、二塁、二塁後方にポトリと落ちる適時打を放った2番植田選手
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6回裏一死一塁、途中出場の6番北川選手が右中間を破る適時三塁打を放って1点差
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6回表から登板した3番手の草海投手。走者を背負うも無失点に抑えた
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8回表、わずか一球のマウンドながら味のある投球を見せた6番手の横田投手
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8回裏二死一、二塁、途中出場の8番須田選手の右中間三塁打で2点を奪い勝ち越す
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試合中盤から優位な展開。三塁側ベンチの選手たちは最後まで集中を絶やさなかった
日時/場所 2020年8月25日(火)10:30~ セガサミー野球場
結果 セガサミー(三塁側) 5-3 三菱日立パワーシステムズ(一塁側)