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スポーツライター 佐々木 亨氏によるオープン戦 戦評(8/16 オールフロンティア戦)
チームに勢いと勇気を与える一振りも、1番打者に求められる大切な要素だろう。
「初球から積極的に振ることを意識しています」
その言葉通り、1番を担う中川智裕は1回裏の第一打席から初球をフルスイングするのだ。本人の感覚からすれば「ちょっと詰まっていた」アタリだった。だが、気持ちも加わった打球は左中間を破る二塁打となる。一死を奪われるも、3番本間諒のセンター前ヒットでチャンス拡大。一、三塁となった直後に、センター前へタイムリーヒットを放ったのは4番根岸晃太郎だった。
幸先よく先取点を奪った打線は3回裏、再び1番中川の二塁打が起点となりチャンスを迎えた。2番植田匡哉が手堅く犠打を決めて一死三塁。その好機で3番本間がレフト線へタイムリー二塁打を放てば、4番根岸がセンターの頭上を越えるタイムリー三塁打で続いて得点を重ねる。さらに、5番澤良木喬之のセカンドゴロの間に三塁走者の根岸が4点目のホームを踏んで点差は一気に広がった。
打線がもたらした勢いに乗り、マウンドに立ち続けたのは先発の飯田大翔だ。1回表は二死からショートへの内野安打と四球で走者を背負うも、後続をショートライナーに討ち取り無失点で切り抜けた。2回表も点を失うことはなかったが、先頭打者のレフト前ヒット、さらに8番打者への四球など、ピッチング内容に満足できるものはなかった。
「ストレートが安定せずに、カットボールもよくなかった。それでも、全体的には変化球でカウントを整えられましたし、3回以降はスライダーを使いながら、それなりのピッチングはできたと思います」
3回表と4回表は、ともに三者凡退。力で押し切るのではなく、巧みに変化球を散りばめて打たせて取るピッチングが冴えた。5回表は、二塁手・北阪真規と三塁手・砂川哲平の好プレーに助けられる場面もあったが、粘り強いピッチングでまたしても点を与えない。結局、5イニングスを投げた飯田は、散発3安打の無失点。先発の役割を十分に担った。
「無失点に抑えたことは収穫です。これからは、ピッチング内容も良くしながら与えられたマウンドで結果を出していきたい」
飯田のピッチングに触発されるかのように、6回以降の投手陣も頼もしかった。約1カ月前にサイドスローにしたという左腕の東範幸は、キレのあるボールで打者1人をきっちりと抑えた。3番手で登板した草海光貴は、6回途中から7回表まで無失点に抑える。8回表の1イニングを三者凡退に抑えたのは、「久しぶりに納得できるピッチングができた」と笑顔を見せる左腕の井上和紀。そして9回表は、今年に入って安定感が増した右腕の石垣永悟だ。先頭打者にレフト前ヒットを浴びるなど満塁のピンチを迎えるも、落ち着いたマウンドさばきで、最後は渾身のストレートでセンターフライに討ち取りゲームセット。5人の投手リレーによる完封劇が完結した。
願わくば、中盤から終盤にかけて打線がもう一度チャンスを築き追加点を挙げる盤石の試合展開を見たかったところだが……。ともあれ、序盤の先制攻撃に始まり、投手陣の完封リレーである。チームが理想とする形が今、少しずつ見え始めている。








日時/場所 | 2020年8月16日(日)12:30~ セガサミー野球場 |
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結果 | セガサミー(三塁側) 4-0 オールフロンティア(一塁側) |