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スポーツライター 佐々木 亨氏によるオープン戦 戦評(6/26 ENEOS戦)
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全国で解除されて各地でオープン戦が再開される中、予定されていた試合が雨天で流れ、やっとこの日を迎えた。チームにとっては東京都企業春季大会1回戦(3月26日)以来、ちょうど3ヶ月ぶりの実戦だ。
ルーキー右腕の横山楓は1回表、ENEOSの先頭打者にライト前ヒットを浴びる。一死後、3番打者には左翼手・宮川和人の右横を抜けていく二塁打を食らった。その打球で、一塁走者が一気にホームを狙う。だが、宮川から遊撃手の中川智裕へ、そして捕手の吉田高彰へとボールが渡る完璧な中継プレーによって、そのピンチは脱した。
さらに、中堅手・市根井隆成のビッグプレーだ。二塁に走者を残した状況で4番打者の打球が右中間を襲った。抜ければ確実に失点となっていたであろうその飛球に対し、市根井は果敢に飛び込んで好捕した。横山を助けるプレーが続き、チームの士気はグッと高まった。2三振を奪う中で無失点に抑えた2回表の横山のピッチングで、さらに勢いが増したかに思えた。
だが、3回表。先頭の9番打者にレフト越えの先制ソロアーチを浴びると、ルーキーのピッチングは一気に精彩を欠いた。その後、長短打7本を集められて大量失点。このイニングだけで6点を失う大乱調となる。試合後の西田真二監督は言うのだ。
「変化球でカウントを整えたり、ストライク率を70%にしたり、とにかくコントロールを良くしなければいけない。横山は先発ローテーションに入ってもらいたいピッチャーの一人ですから、もっともっとピッチングの精度を高めてほしい」
序盤のビッグイニングは、ゲームの流れを考えれば重かった。久しぶりの実戦ということもあり、攻撃陣のバットも湿りがちだった。ようやくチーム初ヒットが生まれたのは4回裏。二死二塁から4番根岸晃太郎が放ったライト前ヒットだ。その一打で、二塁走者の北阪真規がホームを狙うも、あえなくタッチアウト。追い上げムードすら築くことができなかった。
中盤、そして終盤になってもチャンスは乏しい。結局、最後まで攻め切れずに無得点に終わった。ヘッドコーチの佐藤俊和は言う。
「練習から、いかに実戦をイメージして取り組めるか。そういうところが大事になってくると思います」
打者に対して西田監督は「反応する力、ストレートへの対応力など、さらに打撃の精度を上げてほしい」と語った。
ただ、投手陣に関しては4回以降、横山の後を受けてマウンドに上がった横田哲、田中太一、陶久亮太が抜群の安定感を誇って無失点に抑えるなど、収穫もあった。そして、選手たちの鼓動とプレーがグラウンドに広がる時間が戻ってきたことが、何よりもの収穫、喜びであることは言うまでもない。
野球ができることへの喜びと感謝。
試合には敗れたが、選手たちのそんな思いがよく伝わる、そして大きな一歩を踏み出した実戦だった。








日時/場所 | 2020年6月26日(金) セガサミー野球場 |
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結果 | セガサミー(三塁側) 0-6 ENEOS(一塁側) |